テンプスタッフ創業者 篠原欣子さんに学ぶ、仕事を続けるコツは?

モチベーション管理・働き方

「もうやめたい。なんで会社を創ったのだろう」
テンプスタッフ(テンプホールディングス)の創業者の篠原欣子さんは、起業当初、資金繰りが苦しくて、毎日、家に帰ると泣いていたそうです。
 

経歴を調べてみると、資金繰り以外にも、
官庁から、職業安定法に違反しているのではないかと何度も呼び出しを受けたり、
社内改革による新旧社員の対立や、
登録スタッフの名簿流出事件など、
よく続けてきたなと思うようなエピソードが並びます。
 

設立から40年を超え、篠原さんが1人で始めたテンプスタッフは人材派遣業界でトップクラスまで成長し、3万人以上(連結)の従業員が所属するテンプホールディングスとなりました。

篠原さん自身もその実績が評価され、アメリカ「フォーチュン」誌の「世界最強の女性経営者」に12年連続で選出されています。

「もうやめたい」そう思うくらい辛かった彼女が、40年以上も仕事を続けられたコツは、何だったのでしょう

続ける前提で、会社を選ぶ

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篠原さんが起業したきっかけは、勤めていたオーストラリアの会社を辞め、日本で再就職を考えたことです。

当時38歳という年齢、女性は結婚して家庭にはいるという時代背景から、再就職先がなかったのかな?と思ったのですが、違いました。
 

何社か内定をもらっていたけど、起業することを選びます。

なぜ起業を選んだのでしょうか?
 

オーストラリアの企業に勤めたとき、女性でも責任のある仕事を任され、男女平等に働いている姿を見て、衝撃を受けたそうです。

男女平等に働ける海外企業を経験したいま、女性は補佐、結婚したら退社するのが当然という日本企業の文化で働く気にはなれませんでした。
 

そこで、オーストラリアで知った人材派遣の会社をやってみようと思い経ちます。

再就職先を探しているとき「自分は一度勤めたら、そう簡単には辞めないだろう」と考えていたそうです。
だからこそ、長く働くことを前提に、続けられる道を選びます。

 

起業のエピソードを調べて一番驚いたのが、篠原さんの行動力です。

オーストラリアで勤めていた企業に派遣されて来たスタッフを見て、人材派遣というサービスを知ります。
普通だったら、「そんなサービスがあるんだぁ」で終わってしまいますよね。

篠原さんの違いは、人材派遣サービスの事務所を見学させてもらうという行動に出たことです。
この時は、人材派遣で起業するなんて考えていなかったのにです。

事務所の隅っこで一日中、業務を観察し、営業用のチラシも持ち帰ってきています。
起業したときには、そのチラシを日本語に翻訳し、外資系企業に営業に出かけたそうです。

提供する仕事の価値を感じる

初めて派遣したスタッフの方はとても優秀で、派遣先の企業からも喜ばれたそうです。

「こんな優秀な女性が埋もれていたのか」と驚くとともに「こういう方に活躍する場を提供できる」と自分の仕事の価値を感じれたそうです。

辛いことがあっても、登録スタッフから「またお願いします」と言われると、これからも続けようと頑張れたと話されています。
 

お客様から感謝してもらえると、嬉しいですよね。
自分の仕事が、誰かの役に立っていると実感できます。
 

自分の仕事のやりがいや、感謝してもらえて嬉しいと感じることは、日々の仕事に追われていると少ないかもしれません。

そういう時は、朝の通勤電車の中などで、今日の仕事でお客さんにもっと喜んでもらうためには、どう工夫したらいいかな?とちょっと考えてみるだけでも、その日の仕事の質が変わり、感謝してもらえることが増えてきます。
 

もっと簡単なのは、同僚やサービスをしてくれた店員さんなどに、まずは自分が「ありがとう」と感謝を伝えることです。
巡り巡って、自分にも感謝が返ってきます。

自分に負けたくない気持ち

辞めなかった理由の一つに、自分に負けたくなかったと話されています。

負けず嫌いだなと感じたのですが、他人に対する負けず嫌いではなく自分に対するものなので、「案外いいかも」と思いました。
 

自分が決めて始めたのに途中で投げだしたという感覚で辞めると、自分への信頼が下がり、罪悪感が残ってしまいます。

「あぁ、また私は続けられなかった・・・なんてダメなんだろう」と。
 

だからといって「何が何でも続けなきゃいけない・・・辛くても我慢しないと」と思うと、心と身体を壊しかねません。

自分に負けたと感じないところ、自分が納得するまでやりきってから辞めれば、自分への信頼は下がりません。そこまで頑張ろうと思えると続けられそうですね。

メンターを持つ

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起業初期の篠原さんは、経営者としては素人でした。
税務署から社員の源泉徴収を収めていないと指摘されて、「源泉徴収って何ですか?」と聞いてしまうほどです。

経営計画も、評価制度も整っていない状況をみて、中途採用した社員から「経営方針及び目標を明確にしてください」と血判状まで突き付けらたこともあります。
 

それでもやってこれたのは、自分は特別な才能はないと謙虚な姿勢で、尊敬する経営者から学び続けたからだろうなと思います。

尊敬する人に、松下幸之助さんを上げ、迷ったときは著書を何度も読んだそうです。

メンター制度のある会社はまだまだ少なく、身近に尊敬できるメンターがいない人も多いと思います。
でも、今の時代、本やネットで沢山の情報が得られます。

まずは、自分が尊敬できる人の本を読んで励まされてみるのも、仕事を続ける一つのコツだと思います。

まとめ

「もうやめたい」そう思うくらい毎日辛かったというテンプスタッフ創業者の篠原欣子さん。

オーストラリアで働いた経験から、当時、男女平等とは言えなかった日本企業では働く気になれず、起業という選択をします。

「女性が活躍する場を提供できる」という自分の仕事の価値を感じ、辛いことがあってもこの仕事を続けようと感じれたといいます。

「自分に負けたくなかった」という気持ちも、辛くても仕事を続けられた理由でした。
自分が納得ができるところまで、やり切る気持ちって大事ですね。

そして、経営素人の篠原さんにとって、メンターの存在は大きな支えでした。
迷ったときは松下幸之助さんの本を何度も読んだそうです。

いま、仕事が辛いと感じているなら、自分の仕事がお客さんに提供する価値を見つめなおしてみてはいかがでしょう?

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