独学でRubyを学ぶとき、どこまで勉強すれば『Rubyを習得した』と言えるのか、悩みませんか?
とくに、就職や転職に役立てるためにRubyを学ぼうと思っているなら、どこまで勉強すると転職に有利になるのか知りたいですよね。
この記事では、プログラミング初心者の方が、独学でRubyを勉強して就職・転職を目指すときのロードマップ(どのように、どこまで学ぶと役立つのか)を紹介します。
おすすめの教材や学習サイトなども一緒にご紹介するので、参考にしてくださいね。
Rubyだけでは不十分!Ruby on Railsも学ぼう
Rubyを習得するのだから、Rubyだけ勉強すればいいと思っていませんか?
実は、Rubyだけでは不十分。『Ruby on Rails は勉強しなかったの?』と言われてしまいます。
ここでは、RubyだけでなくRuby on Railsも勉強したほうがいい理由を説明しますね。
そもそもRubyとは?
Ruby(ルビー)は、日本人のまつもとゆきひろさんによって生み出されたプログラミング言語で、次のような特徴があります。
- 文法(コード)がシンプルで分かりやすい
- 少ないコードでシステムを作れる
- オブジェクト指向のスクリプト言語
早く簡単にプログラムを作ることができ、日本語の情報も豊富なので、初心者でも学びやすいプログラミング言語だと言われています。
Ruby on Railsとは?
Ruby on Railsは、Webアプリケーションの開発を簡単に早く行うことができるRubyのフレームワークです。
Ruby on Railsの使い勝手がいいことも、Rubyが広まった一つの理由です。
Rubyを利用して開発している企業の多くで、Ruby on Railsも一緒に利用されています。
Rubyで作れるもの
Rubyは、幅広く色々な分野のシステムが作れるプログラミング言語ですが、Ruby on Rails の存在もありWebアプリケーションが作られていることが多いです。
例えば、企業向けの業務システム(Webで利用できる売上・営業管理など)、通販サイト(EC)やWebメディア、SNS、マッチングサイトなど。
有名なレシピサイトのクックパッドや、グルメレビューサイトの食べログもRuby/Ruby on Rails で作られています。
Twitterも、当初はRuby/Ruby on Rails で作られていました。そのためか、Ruby on Railsの教材ではTwitterのようなSNSを作る課題をよく見かけます。
Ruby/Ruby on Rails以外に、一緒に学ぶべき知識
Rubyの基礎(文法)だけを勉強するのであれば、とくに必要な前提知識はありません。
ですが、Ruby on RailsはWebアプリケーションを作るためのフレームワークなので、勉強を進めるうえでWebの基本スキルなど必要な知識がいくつかあります。
次のような知識も、一緒に学ぶようにしましょう。
- Webの仕組み(各プログラミング言語の役割やデータの流れ・処理などの仕組み)
- HTML・CSS(Web画面を作るための言語)
- SQL(DB)(データを管理するための言語)
Webの仕組み(データの流れ)を理解したうえで各プログラミング言語を学ぶと、学習効率がぐっと上がりますよ。
- コマンドライン(ファイルの編集など開発に必要な操作をするためコマンド)
- Git/GitHub(コードを管理するツール)
Git/GitHubは、自分のパソコンで開発している分には必要性を感じないかもしれませんが、開発現場(会社)では必ずといっていいほど使われているツールなので、勉強しておくことをおすすめします。
Ruby/Ruby on Rails を習得するまでのロードマップ
独学で学ぶときのおすすめは、小さく始めて、段階的に学ぶ内容を広げていくスパイラル方式。何度も復習することで、知識が定着していきます。
- Step1(学習サイトで)基礎を学ぶ
- Step2(本で)基礎の学びを定着しつつ、Webアプリケーションの作り方を学ぶ
- Step3いままでの学びをいかして、自分でWebアプリケーションを作る
- Step4Ruby/Ruby on Railsの学びを深める
各ステップをもう少し詳しく説明していきますね。
Step1:(学習サイトで)基礎を学ぶ
Step1では、次の内容を学びます。
- Rubyの基礎(文法)を学ぶ
- Webの仕組みを学ぶ
- Ruby on Railsを学びつつ、HTML・CSS、SQLを学ぶ
学ぶ環境について
基礎を学ぶ教材は、初心者向けの学習サイトでも本でも、ご自分に合うもので構いません。
私のおすすめは、開発環境を作らなくてもすぐにコードを書いて学べるスタイルの学習サイトです。
Rubyでプログラミングをするには、コードを書くための環境を作る必要があります。この環境構築が初心者には、つまずきやすく時間がかかります。
そうこうしているうちに、挫折してしまう人も多いんです。
学ぶ順番について
プログラミングスクールのカリキュラムをみていると、前提知識であるWebの仕組み、HTML・CSS、SQLを学び、Ruby、Ruby on Railsを学ぶという順番が多いです。
もちろんその順番でもいいのですが、私はその知識が必要になるタイミングで学ぶスタイルです。
というのも、時間が空いてしまうと学んだ内容を忘れてしまうから。また、実際に使う場面で学んだほうが利用イメージがわいて理解しやすいからです。
学習サイトや初心者向けの本のカリキュラムを見ると、Rubyの学習は前提知識がなくてもすすめられる構成になっているものが多いです。
独学の場合は、一番学びたいRubyをまずは勉強したほうが楽しいですし、モチベーションも保てると思うので、Rubyから学び始めることをおすすめします。
プログラミングは実際に動かしてみて理解できることも多いので、多少理解できないことがあってもまずはサンプルコードや課題のコードを書いて、動きを体感していきましょう。どんなふうに動くか分かることで、理解できなかったことが分かるようになります。
Step2:(本で)基礎の学びを定着しつつ、Webアプリケーションの作り方を学ぶ
Step2では、次の内容を学びます。
- コマンドラインやGit/GitHubの使い方を覚える
- 開発環境を作る
- Ruby/Ruby on RailsでWebアプリケーションを作る
- Webアプリケーションの公開の仕方を学ぶ
初心者向けの学習サイトは手軽に始められますが、自分で開発できるようになるには内容が薄いと感じています。
学習サイトの内容よりもう少し幅広く学べる本で、基礎の復習をしつつ
- 開発環境の作り方
- Webアプリケーションの作り方
- Webアプリケーションの公開の仕方
などを学んでいきましょう。
Step3:いままでの学びをいかして、自分でWebアプリケーションを作る
一通りのことを学んだら、自分でWebアプリケーションを作ってみましょう。
おそらく、思ったようにコードが動かなかったり、作りたい機能があるけれど「どうコードを書いたらいいか分からない」といったことが、たくさん出てくると思います。
色々試したり、ネットで調べたりして、進めていきましょう。
作るものは、ご自分の好きなものを作っていいのですが、就職・転職のために学んでいるのであれば、ポートフォリオ(スキルや実績をアピールするための資料)として、面接などで見せることを前提に作ることをおすすめします。
Step4:Ruby/Ruby on Railsの学びを深める
Step3まで進めば、『Rubyを習得した』と言えます。
ですが、もう少し自信や手応えが欲しいという方もいるはず。
そんな方は、「Ruby on Rails チュートリアル」という教材や、Rubyの資格に挑戦してみましょう。
Ruby on Rails チュートリアルに挑戦する
Ruby on Rails チュートリアルは、Ruby on Railsを学ぶ人達には有名な教材です。
TwitterのようなSNSを作りながら、Webアプリケーションを作るために必要なスキルをひとつずつ学んでいけるので、基礎を学んだあとにやる教材として人気があります。
progateのような初心者向けの学習サイトと比べるとレベルが高く、実務で必要な最低限のスキルが身に付くとも言われています。
ただ・・・。ちょっとスパルタなんです。
分からないことは自分で調べて、プログラミングスキルをつけていくやり方で、初心者には説明が優しくありません。
分からないことを自分で調べることは、私もおすすめしていますが、誰にも聞けない独学の場合はある程度まで知識をつけてから挑戦するほうが、挫折しなくていいと思います。
Ruby on Rails チュートリアルでは、先に紹介したスキル以外に次のような知識も必要になります。適宜学習しながら進めてみてくださいね。
- JavaScript(動的なWeb画面を作るための言語)
- jQuery(JavaScriptのライブラリの1つ)
- Sass(Web画面をきれいに表現するための言語)
公式サイト Ruby on Rails チュートリアル
Rubyの資格に挑戦する
学んだ内容をしっかり理解できているか試してみるという意味で、資格取得に挑戦するのもおすすめです。
Ruby技術者認定試験は、Rubyの生みの親である まつもとゆきひろさんが理事長をつとめるRubyアソシエーションが実施している認定試験です。
「Silver」と「Gold」の2つのレベルに分かれています。これからRubyを学ぶ方は、Rubyの基本的な技術レベルを出題範囲としている「Silver」の取得を目指すといいでしょう。
公式サイト Ruby技術者認定試験
習得するには300時間が目安
どのくらいの時間でRuby/Ruby on Railsを習得できるのか、気になりますよね。
実用的なサービス(例えばECショップやSNSなど)を作れるようになるには、300時間程度は必要と言われています。働きながら毎日2時間勉強したとして、5ヶ月くらいかかる計算ですね。
ざっくり半年を目安に進めてもいいのですが、独学の場合は学習期間が長くなるとダラダラしがち。もう少し細かな期日を設けたいところです。
例えば、「Step1:基礎を学ぶ」の内容を、学習サイトprogateで学んだ場合の想定学習時間は、約60時間。
学習項目 | 想定学習時間 |
Ruby | 8時間 |
Ruby on Rails | 31時間 |
Webの仕組み | 0.5時間 |
HTML&CSS | 10時間 |
SQL | 8時間 |
合計 | 57.5時間 |
「Step3:自分でWebアプリケーションを作る」は、短期集中で学ぶプログラミングスクールの時間配分を参考にすると約160時間(1日8時間×20日間)かけています。
Step3までを300時間かけて学ぶと仮定するなら、「Step2:Webアプリケーションの作り方を学ぶ」にかける時間は80時間。
Ruby/Ruby on Railsを習得するための各Stepの目安時間をまとめると、次のとおりです。
Step | 目安時間 |
Step1 | 60時間 |
Step2 | 80時間 |
Step3 | 160時間 |
Step4のRuby on Rails チュートリアルは、数週間~数ヶ月かけてすすめるのが一般的だそうです。
あくまで目安なので、ご自身の進捗状況によって見直しながら進めてくださいね。
自分でWebアプリケーションを作ったら、就職・転職活動を始めよう
転職活動をするときに独学だと難しいのが、勉強してどのくらいのスキルをつけたのか伝えること。
プログラミングスクールを利用して転職する場合は、授業の内容から「これくらいは知っている」ということを採用担当者も分かったうえで選考してもらえることが多いのですが、独学だと「どこまで分かっているの?本当にプログラミング出来るの?」と思われがちです。
体験談などを読んでいると、上手く伝えられずに内定をもらえなかったという人もいました。
そこでスキルのアピールになるのが、Step3で作ったWebアプリケーションです。
Step3を終わらせる前に就職・活動を始めてもいいのですが、ポートフォリオとなるWebアプリケーションがあったほうが独学で勉強した内容を分かってもらいやすく、内定をもらえる確率が上がります。
ご自身もWebアプリケーションを一通り作れるという自信をもって選考に臨めるので、気持ち的に楽だと思います。
まとめ
Rubyは、Ruby on RailsとともにWebアプリケーションを作るプログラミング言語として、多くの企業で利用されています。
Rubyを学んで就職・転職を目指すなら、Rubyだけでなく、
- Ruby on Rails
- Webの仕組み
- HTML・CSS
- SQL(DB)
といった、Webアプリケーションを作るために必要な知識も一緒に学ぶようにしましょう。
独学で学ぶ場合は、小さく始めて、段階的に学ぶ内容を広げていくスパイラル方式がおすすめです。
何度も復習することで、知識が定着していきます。
- Step1:(学習サイトで)基礎を学ぶ
- Step2:(本で)基礎の学びを定着しつつ、Webアプリケーションの作り方を学ぶ
- Step3:いままでの学びをいかして、自分でWebアプリケーションを作る
- Step4:Ruby/Ruby on Railsの学びを深める
Step3まで学べば、『Rubyを習得した』といえます。つくったWebアプリケーションをポートフォリオとして、就職・転職にチャレンジしましょう。
Stepが進むことで、学びの難しさは上がってきます。分からないところを簡単に聞けない独学では、思うように進まず辛いときもあると思います。
そんな時、『プログラミングは難しくて、無理』なんてあきらめずに、もっと分かりやすい教材を探す、根気よくネットで調べるなど工夫してみてくださいね。
独学で始めてみて、「やっぱり教えてくれる人が欲しい」と感じたら、プログラミングスクールを利用することも考えてみてください。
プログラミングスクールの料金は確かに高いところが多いのですが、独学より効率的です。就職サポートが付いているプログラミングスクールを選べば、1人で就職活動をするより内定をもらいやすくなりますよ。
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