身近に女性の管理職がいなくて、どんな管理職になりたいか思い浮かばずに、ロールモデル(お手本)になる人を探していませんか?
色々なメディアで紹介される女性管理職の方は、上級管理職(役員、社長など)の人が多く、いまの自分の立場では参考にならないと感じることもあると思います。
今回は、課長職(チームリーダー)を任された場合のロールモデルを紹介します。
もしかしたら、管理職は辛くて大変なイメージがあって、
- 自分に務まるのかな?
- 家庭(子育て)との両立なんて出来るのかな?
と不安を感じているかもしれません。
独身の時だけでなく、結婚しても子供ができても無理なく仕事を続けていけるロールモデルがいいですよね。
紹介するのは、小さなお子さんがいるママさん管理職の実例です。
女性は、辛くて大変な管理職なんて目指さなくていいんです。無理なく務められる女性管理職を目指しましょう。
辛くて大変な管理職のイメージは捨てていい
いまイメージしている管理職の姿が「辛くて大変」なら、それは管理職の本当の役割を理解していないからかもしれません。
例えば、こんなイメージ
- 強いリーダーシップを発揮しないと
- 上の立場だから部下(メンバー)より仕事ができないと
- 管理職になると責任が重くなる
強いリーダーシップがなくても、部下より仕事ができなくても、重い責任を1人で背負わなくても、管理職は務まるんです。
まずは、
- 管理職の役割
- 責任の捉え方
を変えていきましょう。
管理職の本当の役割
管理職の仕事は、組織をマネジメントすること。マネジメント=管理することだと思っていませんか?
「マネジメント」の発明者と呼ばれるピーター・ドラッガーは、マネジメントの本来の役割は、部下(メンバー)が協力しあうことで結果を出すものだと定義しています。
部下やメンバーが協働することで、何か価値あるものを生み出させる。それがマネジメントの本来の役割です。
管理職の本来の役割は、次の2つ
- 部下と協力しあって結果を出すこと
- 部下を育てる(能力を引き出す)こと
強いリーダーシップを発揮して、部下になんでも指示して、結果を出すことではないんです。
部下の能力を引き出して、みんなで協力して結果を出す。これが管理職の役割です。
責任の捉え方
社内での立場が上がるほど、責任が増えますよね。目標へのプレッシャー。トラブルが起きた時の対応はもちろん、原因を厳しく追求されることも。
これ以上、責められる立場になるのは嫌だなと感じている人もいるでしょう。
日本人は「責任とは責めを負うこと」と捉えがちですが、この定義を変えましょう。
「責任とは対応すること」=問題を解決するために何をしたらいいか考えて、行動すること。
私がこう考えるようになったのは、女性経営者である佐々木かをりさんの次の言葉がきっかけでした。
リスポンスビリティー(responsibility)という単語は、辞書で引くと「責任」と書いてある。(中略)
リスポンス(response)とは、対応、対処、反応、の意。アビリティ(ability)とは能力、可能性、の意味。そのまま訳すと「対応能力」となる。
リスポンスビリティー=対応する力、という考え方なら、何か問題が起こっても、対処する方法を的確に見つけ出せばよいのだから、多くの人がほっとするはずだ。引用元:佐々木かをり著-自分が輝く7つの発想
責任=リスポンスビリティー=対応する力、と考えてもいいのでは?と思ったんです。
責められると思うと頭も身体も強張り、解決策が考えられなくなってしまうけれど、そうではなく問題に対応することが求められる。こう考えると、気持ちが楽になりませんか?
ママでも務まる女性管理職の働き方
管理職の本来の役割は分かったけれど、具体的にどんな風に働いたらいいの?と思いますよね。
私の取引先の上司であった女性管理職の方の働き方が、とても参考になったので紹介します。
彼女(Tさん)は育児休職が明けて復帰したばかり、時短勤務中でした。上司が移動になり課長に抜擢されます。
以前の課長は、高い能力と強いリーダーシップで部下を引っ張っていくタイプだったこともあり、他部署の男性社員からは、時短勤務の女性が管理職なんて務まるのかと心配する声が上がっていました。
半年後、彼女は課の売上目標を達成しただけでなく、社長賞を受賞する部下を育てあげます。
では具体的に紹介していきますね。
部下と協力しあって結果を出すためにしたこと
Tさんは課長になったとき、自分1人のチカラでは限界があること、みんなに協力してもらってチーム(組織)として目標を達成したいことを話しました。
そのために今までは一部の人にしか共有されていなかった予算・実績の数値をみんなに共有し、1人1人の仕事の結果がチームの目標にどのように影響しているのか分かるようにしました。
体制も大きく変えます。部下の裁量を増やし、Tさんから具体的な指示は出さず、部下の相談にのること、方針を示すことのみにし、時短勤務でも組織が回る体制を整えました。
- 協力してほしいときちんとお願いする
- 部下の人達が当事者意識を持てるように必要な情報を共有する
- 部下の人達が仕事をしやすいように権限を委譲する
部下を育てる(能力を引き出す)ためにしたこと
みんなからの提案を聞く体制にしたことで、喜んだのが部下の人達です。
業務の改善案、売上を上げる企画など、それまで上がってこなかったアイデアがどんどん寄せられました。
すぐに出来ることはどんどん任せ、お客様に影響があるような企画は「期間限定キャンペーン」のように小さく始めて結果を見る。上手くいかなければ対策を一緒に考え改善していく。
仕事を任せてもらえること、結果がすぐに出なくても責められることなく上手くいく方法を一緒に考えてもらえることで、部下の人達のやる気が上がっていました。
売上に結びついたアイデアは課の中でほめることはもちろん、Tさんの上司である部長にも具体的な成果を添えて報告しました。部下の人達は部長からも声をかけてもらえるようになり、自分の仕事が評価されていることを感じられて、とてもうれしそうでした。
- 小さなアイデアをおろそかにしない
- すぐに結果を求めず、対策を一緒に考える
- 結果が出たなら評価する(上司にもアピール)
責任の取り方
以前の課長は能力が高い独身男性でした。業務時間外にトラブルが起きても対応できていましたが、小さな子供がいるTさんは対応できません。
そこでトラブルが多く、みんなの負担の多かったサービスを思い切って縮小します。
ですがサービスを縮小するとその分売上が落ちます。縮小することだけを話しても部長からの許可はおりません。そこで、落ちる分の売上を補う新しいサービスの企画を一緒に提案して、サービスを縮小する許可をもらいました。
Tさんは高い能力や強いリーダーシップはありませんでしたが、みんなに協力してもらうことで目標を達成。部下の人達が主体的に仕事に取り組む体制を作ったことで、人も育ちました。
こんな管理職なら、自分もなれそうな気がしませんか?
女性が管理職になるメリット
管理職は辛いというイメージをもっていると、管理職になるデメリットばかりが思い浮かんでしまいがちですが、女性が管理職になることで、次のようなメリットがあります。
- 女性も働きやすい職場へ改善できる
- 作業的な仕事を減らせて、時間の融通をつけられる
先ほどのTさんの事例でもあったように、業務時間外のトラブルが多かったサービスを縮小することで、他の女性も働きやすい職場になりましたよね。
相談にのる・方針を出すという考える仕事が中心になったことで、通勤の時間を利用して対策を考えたり、お子さんを寝せたあとに急ぎの件だけ自宅から指示を出すなど時間の融通もつけられるようになりました。
まとめ
管理職というと強いリーダーシップを発揮して、部下になんでも指示して、結果を出すイメージを持っているかもしれません。ですが、女性がそのリーダー像を目指すのは辛いですよね。
管理職の本当の役割は、次の2つ
- 部下と協力しあって結果を出すこと
- 部下を育てる(能力を引き出す)こと
もし上司から管理職になることを打診されているなら、辛くて大変な管理職を目指すのではなく、みんなで協力して結果を出せる管理職を目指してみましょう。
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